普段、私たちは何気なく電車に乗っています。そして、埼京線から中央線に乗り換え、東京駅では京葉線に乗り換えるのか...などと路線名は特に気にすることも無く乗りこなします。しかし、その路線名にもちゃんと由来があるので、今回はそれについてお話したいと思います。
まず初めに、路線名の付け方には筆者が思うに3つのパターンがあると思います。
① 地理的条件から取る(南北線、東西線、千代田線、内房線、武蔵野線)
② 施設や通りから取る(空港線・御堂筋線)
③ 路線の両端の地名をつなげる(東急東横線、JR京葉線)
④ 経由する代表(あるいは終点)の駅の名前パターン(西武池袋線、JR横須賀線)
⑤ その他(東武アーバンパークラインなどの愛称やグリーンラインなど)
地下鉄は①や②、私鉄とJRは③と④のパターンが多いような気がします。⑤は主にカタカナの路線名が多いかと思います。カタカナ以外ではJR西日本管内では東海道線のことをJR京都線やJR神戸線と言ったりしますが、いずれにせよ分かりやすくするための愛称です。
1.札沼線(学園都市線)
今年4月17日に突如として北海道医療大学ー新十津川間の最終運行があり、その後廃止されたことで話題になった札沼線。札沼線の「札」はもちろん札幌に由来しますが、「沼」はどこでしょうか。答えは石狩沼田という駅です。石狩沼田は留萌線の駅で現在も存在します。しかし、札沼線は接続していません。ではなぜその駅名から取られたのか。それは昔は繋がっていたからです。札沼線は1935年に全通しました。しかし、利用者の低迷から1972年に新十津川ー石狩沼田間が廃止されました。それでも路線名だけは昔の名前を変えずに残ったのです。つまり、上の振り分けに当てはめるなら③になります。しかし、廃止から20年近くたった1991年には路線名と現状が合わなくなっていたため、学園都市線という愛称がつけられました。今日では学園都市線という呼び方のほうがポピュラーかもしれません。
2.両毛線
両毛線は小山と新前橋を結んでいる路線です。両毛という名前はどう思いますか。もちろん両毛駅なんてものはありませんし、路線の両端から取ってきてもいません。正解はこの路線が両毛地区を通っているからです。では両毛地区とはどこか。それは昔の上毛野国と下毛野国を指します。つまり両方の毛野なので、両毛なのです。現在の群馬県と栃木県を指します。ちなみに毛野は日本の古墳時代の文化圏の1つであり、毛野自体が今の群馬・栃木を指しているので、毛野線という風にしても間違いではなかったとは思いますが、何しろ古墳時代の呼び方。江戸時代に上毛野国と下毛野国と定められたのでそこから取ったのだと思います。これも③に当てはまります。
このようにたいていの路線名は5つのパターンに分けることができます。普段何気なく乗っている路線名も由来を考えてみると面白いかもしれません。